根管治療とは?治療の流れや期間、費用などの基本を解説
こんにちは。東京都板橋区大和町、都営三田線「板橋本町駅」より徒歩30秒にある歯医者「アース歯科クリニック」です。
歯の中には、神経や血管を含む歯髄と呼ばれる組織があり、歯髄は根管内に存在します。根管治療とは、細菌に感染した歯髄を取り除き、きれいに消毒する治療のことです。
細菌感染した歯髄を放置すると抜歯のリスクが高くなりますが、根管治療を行うことで、抜歯をせずに天然歯を残せることがあるのです。歯の神経の治療とも呼ばれる根管治療ですが、具体的にどのような治療が行われているのでしょうか。
この記事では、根管治療について詳しく解説しています。治療の流れや治療期間、費用についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
根管治療とは
根管とは、神経や血管などが通っている歯髄が通る管であり、歯の根っこの部分を指します。根管治療とは、根管内の歯髄が細菌感染して炎症を起こした場合に行う治療です。
歯髄が細菌に感染すると痛みや腫れなどの症状を引き起こし、最終的には顎の骨が溶けることがあります。細菌感染の原因は虫歯菌だけでなく、外傷によって歯に亀裂が入ったり折れたりしたことも挙げられます。
根管治療では、虫歯や外傷によって細菌感染を起こした歯髄を除去し、きれいに清掃した後に詰め物を行います。痛みや腫れなどの症状を取り除くだけでなく、天然の歯を残すためにも重要な治療です。
どういったときに根管治療を行うのか
根管治療は、根管内の歯髄が細菌感染を起こしたときに行う治療です。根管治療には、抜髄と感染根管治療の2種類があります。
抜髄は、歯髄が炎症を起こしている場合に、感染している歯髄を取り除く治療です。感染根管治療は、歯髄が壊死した場合や、過去に抜髄した歯が再感染した場合に行う治療です。
感染根管治療では、壊死した歯髄と周囲の汚染した歯根を同時に取り除きます。実際に治療で使用する器具や薬剤に大きな違いはありませんが、日本の歯科治療においては感染根管治療のほうが多いとされています。
根管治療が必要になるケースには、以下の病態があります。それぞれ詳しく解説します。
歯髄炎
虫歯が進行して虫歯菌が歯髄に到達すると、歯髄炎になります。
抜髄しなくても元の正常な状態に回復する余地のある可逆性歯髄炎と、正常な状態には回復しない不可逆性歯髄炎の2種類があります。可逆性歯髄炎の場合は抜髄する必要はありませんが、不可逆性歯髄炎の場合は自然に治ることがないため抜髄します。
歯髄炎の症状には、次のようなものがあります。
- 冷たいものや温かいものがしみる
- じっとしていても鈍い痛みがある
このような症状がある場合、炎症を抑えることが難しいため抜髄が行われます。
歯髄壊死
歯髄炎を治療せずに放置していると、歯髄が壊死して歯の神経が失活します。そのため、温度や刺激による痛みは感じなくなり、治ったかのように錯覚するかもしれません。
壊死した歯髄は回復することはないため、痛みなどの症状は出なくなりますが、感染した細菌は歯の内部に留まり病状は進行します。歯髄が壊死した後は、歯髄が腐敗する歯髄壊疽の状態になります。
歯髄壊死になると、壊死した歯髄と周囲の汚染された歯根を同時に取り除く感染根管治療が必要になります。歯髄壊死の症状は、以下のとおりです。
- 歯の色が変わる
- 温度や刺激による痛みがなくなる
歯髄壊死は、外傷が原因で起こることもあります。
根尖性歯周炎
歯髄壊死の状態を放置していると、炎症が骨の中まで進行し歯根の先端まで炎症が到達すると根尖性歯周炎と呼ばれる状態になります。歯根から波及した炎症によって歯槽骨に膿が溜まり、激しい痛みと腫れが生じます。
さらに進行すると、歯根の先端に溜まった膿が歯茎や皮膚に穴が開けて外へ出ることがあります。根尖性歯周炎は、過去に根管治療を行った歯が再感染して起こることが多く、虫歯が原因で起こる根尖性歯周炎よりも頻度が高いです。
根尖性歯周炎の症状は、以下のとおりです。
- 噛むときに痛む
- 歯茎から膿が出る
- 歯茎にニキビのようなものができる
根尖性歯周炎では、感染した歯髄や汚染された周囲の組織を取り除く感染根管治療が行われます。根管内がきれいに清掃されると、歯根の先端に溜まった膿は自然に消失します。
根管治療の流れ
根管治療は大きく分けて抜髄と根管感染治療に分けられますが、実際の治療の流れは大きく変わりません。ここでは、根管治療の流れをみてみましょう。
麻酔をする
歯髄がある歯の場合、そのまま治療すると強い痛みが生じるため、根管治療は麻酔下で行います。一度根管治療をした歯の再治療でも、神経が一部残っている可能性があるため、抜髄の有無に関わらず必ず麻酔を使用します。
そのため、治療中に痛みを感じることはありません。
準備をする
根管治療では、必要に応じて隔壁を作り根管内に唾液が流入しないようにします。具体的には、ラバーダムを装着します。
ラバーダムとは、細菌を含んだ唾液が患部に流入しないように、治療する歯だけを露出するゴム製のシートです。ラバーダムを使用した根管治療は基本的には保険適用外であり、多くの歯科医院では自費診療で行われています。
感染根管治療は難しい治療であり、成功率は60~80%といわれています。治療の成功率を上げるためには、患部に細菌が入り込まないようにすることが重要です。細菌が根管内に残っていると、細菌が繁殖して再治療が必要になるためです。
根管内の歯髄を除去・清掃する
麻酔が効いてきたら歯に穴を開け、歯髄を露出させます。虫歯も削ってきれいに取り除きます。
その後、ファイルやリーマーと呼ばれる専用の器具を使用し、細菌感染した歯髄を取り除きます。根管内部は複雑な形状をしているため、取り残しや内部の損傷に注意しながら根管を拡大します。
根管内を消毒する
根管内の清掃が終了したら、消毒薬を使用して根管内をきれいに洗浄・消毒します。根管内の消毒は、細菌感染の状態によって数回繰り返す必要があります。
完全に消毒できるまで、根管内に消毒薬を入れた状態で仮蓋をして数日おく作業を繰り返し、根管内をきれいにしていきます。この際、治療を自己中断したり、通院の期間を開けすぎたりすると、細菌が再度増殖するため注意が必要です。
根管内に詰め物をする
根管内が完全に消毒できたら、歯科治療専用のシーリング材を根管内に充填します。根管内を密閉することで、再感染を防ぎます。
被せ物の治療をして終了
根管治療が終了したら、被せ物の治療をして終了です。根管内をきれいに清掃・消毒をしても、被せ物の精度が低いと隙間から徐々に細菌が侵入し、再感染の原因となります。
再治療を防ぐためには、精度の高い被せ物を装着することも重要です。
根管治療の期間や回数
根管治療の1回の治療時間は約30分ですが、根管内がきれいになるまでに3~5回の通院が必要です。治療と治療の間が長期間開くと、根管内の再感染を引き起こす可能性が高いため、治療の頻度は週に一回程度で行われます。
そのため、根管治療の期間は約1か月から1か月半かかるのが一般的です。
しかし、治療回数は目安であり、根管内の状態や症状によって治療回数は変わります。初めて根管治療をする歯は比較的短期間で治療が終了しますが、過去に根管治療を行った歯が再発した場合は治療期間が長くなる傾向にあります。
根管内の細菌感染が重度の場合、半年以上かかるケースもあるでしょう。
根管治療の費用
根管治療の費用は、保険診療と自由診療で大きく異なります。
保険診療で根管治療を受ける場合、約2,000~3,000円(3割負担)が一般的です。自由診療の場合、歯科医院によって費用は異なりますが約7万~15万円かかります。
自由診療は治療する部位によって費用を設定している歯科医院が多く、前歯より奥歯のほうが高額になりやすいです。費用は高額ですが、保険診療では使用できないCTやマイクロスコープ、ラバーダムを使用することができます。根管治療の成功率は高くなるといわれています。
まとめ
虫歯などで根管内が細菌感染した場合は、ご自身の歯を残しておくためにも根管治療が必要になります。根管治療は一般的な歯科医療ですが、適切な治療を受けなければ再発を繰り返す可能性があります。
歯の内部に感染した歯髄や細菌が残らないように、徹底的に清掃・消毒することが再発防止のために重要です。そのため、通常の虫歯治療と比べて時間がかかり、通院回数も多くなります。
ご自身の歯を残すためにも、自己判断で通院の間隔を開けたり通院をやめたりせずに、根気よく治療を受けるようにしましょう。
根管治療を検討されている方は、東京都板橋区大和町、都営三田線「板橋本町駅」より徒歩30秒にある歯医者「アース歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。